対岸の火事(たいがんのかじ)とは、「向こう岸の家事は自分には関係なく心配がないこと」という意味があります。
つまり、自分には関係がなくなんの苦痛や被害もないという意味で使われることわざです。
「対岸の火事」について、意味・使い方・類語・例文・対義語をわかりやすく解説したのでぜひ参考にしてくださいね♪
ちなみに、対岸の火事とは油断しないように戒めの言葉としても使われるため、覚えておくと非常に便利なことわざです。
すぐに読める目次
「対岸の火事」の意味
読み方は、「たいがんのかじ」
- 向こう岸の家事は自分には関係なく心配がないこと
「自分には関係なく何の苦痛もないこと」という例えとして使われることわざです。
火事が目の前で起きていたり、自分の自宅が燃えている人にとっては一大事ではあるが、川を挟んだ向こう岸からみているぶんには、何らダメージ(被害)がなく、心配ないという状況にたとえられている。
「対岸の火事」の語源
語源は、「対岸の火事」という言葉に由来しています。
対岸(たいがん)とは、向こう岸のことであり、川を挟んだ陸(りく)のこと。
そして、向こう岸で起こっている火事は川があるため、延焼(火が燃え移ってくる)の心配もなければ、自分が被害に合っているわけでもないため、関係ないという状態から由来しています。
昔は、今ほど消防技術が発達しておらず、大規模な火事が起きてしまうと街全体が焼失してしまうこともありました。 その当時でいえば、火事というのは一大事であり、他人事ではなかったのです。
しかし、状況も変われば心配もなくなります。
川を挟んだ状態であれば、建物から建物へと火が延焼する心配がないため、「自分には関係なく、心配ないこと」という感覚になる。
これが、「対岸の火事」ということわざの意味であり、語源です。
「対岸の火事」の使い方
使い方としては、以下のような2つのパターンがあります。
- ◯◯は対岸の火事である
- ◯◯は対岸の火事とは思えない
1つめは、「自分には関係なく心配がない」という意味で使うパターンです。 そして、2つめは「自分には無関係だとは思えない」という戒めとして使っています。
「対岸の火事」は戒めの言葉として使われる
「対岸の火事」とは人間であれば、誰でも同じような考えをしてしまいますが、使い方を間違ってしまうと相手を不快な気分にさせてしまたり、傷つけてしまうことがあることわざです。
ですので、使い方は十分に気をつけないといけません。
ビジネスシーンなどでは、「戒め」として、対岸の火事を使うことがあります。
戒め(いましめ)とは、過ち(ミス)がないように前もって与える注意
(例)ライバル社の売上低迷は業界全体の問題でもあるから、対岸の火事とは思わずに気を引き締めて対策を練るべきである。
「対岸の火事」の例文
- 映画の悲劇は対岸の火事であるから面白いけど、現実では絶対に味わいたくない。
- 上司が腰痛で悩んでいたが僕も運動不足だから対岸の火事とは思えない。
- 対岸の火事であると思っていたら痛い目に合うから油断してはいけないと思った。
- 海外で起きているニュースは対岸の火事に見えるが、数年後の日本で起こる可能性は十分にある。
- 友人が大学の単位を落とした。対岸の火事なので面白がっていたら自分も単位を落とす結末になった。
- 対岸の火事をどう捉えるかによってその人の伸びしろと人間性が垣間見える。
このような使い方をすることができます。 「対岸の火事だから、関係がない」という使い方になるか、「対岸の火事とは思えない〜」という使い方になるかは、状況によって違います。
目の前に被害を受けている人がいる場合には、「対岸の火事」ということわざは他人事になってしまうため、表現としては使わないほうが無難です。
「対岸の火事」と「高みの見物」の違い
結論としては意味はほとんど同じではありますが、「高みの見物」には軽い気持ちで眺めるというニュアンスがあります。
比較すると意味はこのような違いになる。
- 対岸の火事⇒自分には関係なく何の苦痛もないこと。
- 高みの見物⇒自分には関係のないものを軽い気持ちで上から眺めること。
高みの見物(たかみのけんぶつ)は、上から見下ろしているというニュアンスがあるため、相手からすると非常に屈辱的、小馬鹿にされているというイメージがあります。
ですので、相手に使うときは要注意の慣用句となる。 そして、軽い気持ちで物事を眺めるという意味があるため、相手にとっての問題に対して、「高みの見物」という表現は不適切です。
1つの表現によって相手を傷つけたり、怒らせてしまうこともあるため、ご注意ください!!
「対岸の火事」の類語
対岸の火事の類語、意味が似ていることわざをご紹介します。
- 拱手傍観(きょうしゅぼうかん)
意味⇒その問題に関わろうとせずただ見ていること。 - 高みの見物(たかみのけんぶつ)
意味⇒自分には関係のないことを軽い気持ちが眺めること - 山門から喧嘩見る
意味⇒問題が起こっている場所から離れて安全な場所から興味本位で見物すること。 - 傍観(ぼうかん)
意味⇒そばで眺めること - ひとごと
- 他人目線
「対岸の火事」の対義語
対義語をご紹介します。
- 隣の火事に騒がぬ者なし
意味⇒利害関係が迫っていると人はじっとしていられないこと。
「対岸の火事」と「高みの見物」は、「関係のない安全な場所から見ている」という意味がこめられていますが、「隣の火事に騒がぬ者なし」ということわざには、自分も危険で被害に合う可能性が非常に高い立ち位置にいる。
このような状況になるため、どのような人間でも騒ぎ焦ってしまうとう意味がある。
ことわざにすると、すごく滑稽に思うかもしれませんが、私たち人間であれば誰もが当てはまることですよね。 外からみている分にはいいけど、現実に起こってしまうとじっとしていられないということ。
「対岸の火事」の英語表現
対岸の火事とは日本語のことわざのため、直訳にすると意味が伝わらなくなってしまいます。 英語で表現をするならば、直接的なストレートな文章がおすすめです。
「It’s nothing to do with me(私には関係がない)」という英文であれば、対岸の火事ということわざが持っている意味を含めているため、適切は英語表現となる。
もしくは、「That’s somebody’s else problem.(それは私ではなくて他人の問題だ)」という英文もあります。
「対岸の火事」の中国語
中国語で「対岸の火事」を表現すると、「隔岸观火」になります。
まとめ
それではおさらいしていきます!
- 意味は、向こう岸の火事は自分には関係なく心配ないこと
- 戒めのことわざとしても使われる
- 類語は「高みの見物」「山門から喧嘩見る」
- 対義語は「隣の火事に騒がぬ者なし」
- 英語は「It’s nothing to do with me」
- 中国語は「隔岸观火」
それでは以上になります。 最後までお読みいただきありがとうございました!! あなたの1日が素敵な日になりますように。