鬼の首を取ったよう(おにのくびをとったよう)とは、「大したことでもないのに、大きな手柄と立てたかのように喜ぶこと」という意味があります。
つまり、本人は自慢げかつ得意げに喜んではいるけれど、他者からみると「全然たいしたことではない」という状態になることわざです。
一言でいうならば、かなり滑稽な状態になります(笑)
「鬼の首を取ったよう」の意味・使い方・類語・対義語・例文をわかりやすく解説したので、ぜひ参考にしてください!!
ちなみに、鬼(おに)とは日本が発祥となった空想上の怪物ではなく、仏教に由来していることをご存知でしたか? 合わせて知っておくと便利な豆知識もご紹介しているので、参考にしてくださいね。
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「鬼の首を取ったよう」の意味
読み方は、「おにのくびをとったよう」
- 大したことでもないのに、大きな手柄と立てたかのように喜ぶこと
ポイントとしては、「大したことでもないのに」という点。 意味としては、他人からみたら別にたいしたことではないのに、本人は得意げに喜んでいる状態ということになる。
つまり、「ここぞとばかりに自慢げになっているが、他者からみたら大したことがないこと」という表現に言い換えることもできます。
「首を取る(くびをとる)」とは、討ち取った(うちとった)という意味がある。 討ち取るとは、「勝負で相手に勝つ」もしくは「武器などを使って相手を倒す」という意味になる
「鬼の首を取ったよう」の語源
語源は、空想上の怪物である「鬼」に由来しています。
鬼というのは、見た目は筋肉質であり、上半身裸で、虎の皮のふんどしをつけている怪物です。 人間以上の怪力であり、悪さをする生き物として恐れられている。
鬼は、非常に力が強いため人間がカンタンに倒せる相手ではありません。 その鬼の首を討ち取るというのは、人間にとっては大変な手柄です。
恐ろしい悪さをする怪物を倒すということは、人間の暮らしが穏やかになるということ。 その功績は素晴らしいものではあるが、実際には鬼は存在しないためあくまでも比喩表現(たとえ話)である。
「鬼の首を取ったように◯◯」とは、実際に鬼を討ち取ってはいないけど、そのように喜び自慢げにである状態のことなので、他者から見ればすごくバカバカしいことになる。
鬼は、日本昔ばなしに登場する。「ももたろう・一寸法師・こぶとりじいさん」 鬼の由来は日本ではなく、仏教であると言われている。
「鬼の首を取ったよう」の使い方
使い方は、以下のような状況になる。
- 鬼の首を取ったように自慢する
- 鬼の首を取ったように喜ぶ
- 鬼の首を取ったように叩く
- 鬼の首を取ったような振る舞い
- 鬼の首を取ったような表情
- 鬼の首を取ったような言動
基本的には、「鬼の首を取ったような◯◯」という使い方をします。
「鬼の首を取ったよう」は偉業や功績には使わない
「鬼の首を取ったよう」は誤用しないように注意してください。
あくまでも、「たいしたことではないのに、大きな手柄を立てたかのように喜ぶ」という滑稽な状況を表していることわざなので、本当に素晴らしいい実績や偉業には使いません。
「鬼の首を取ったように叩く」の意味
よくネットでは、「鬼の首を取ったよう叩く」というフレーズを目にすることがあります。
こちらの慣用句の意味としては、「自分は大したことをしていないのに、誹謗中傷したりすること」という意味になる。
例えば、芸能人が大きなミスをしたときには、自分は関係のないところから一方的にまるで自分が手柄を立てたかのごとく、自慢げに誹謗中傷するときに使われるフレーズです。
例文にすると以下のようになります。
- 番組のコメンテーターは政治家のミスがあると、SNSで鬼の首を取ったように叩くのを見てビックリした。
- 一般人がツイッターで芸能人の失態をまるで自分が鬼の首を取ったように叩く姿が滑稽である。
自分がまるで鬼の首を取ったように叩くというのは、どのような場面でもすごくみっともなくて滑稽な状態ですよね(笑)
それなのに、手柄を自分が立てたかのように誹謗中傷をしたり、上から目線で語るというのはすごく品のない行為です。
そのような状態を、「鬼の首を取ったようように叩く」という表現で小バカにすることがあります。 日常では使わない言葉ですので、覚えなくても大丈夫です(^O^)b
「鬼の首を取ったよう」の例文
例文をご紹介します。
- 上司は部下がミスをすると鬼の首を取ったように説教をして、威厳を保とうとしているのが滑稽である。
- 僕は卓球経験者の弟に勝負で勝ち、鬼の首を取ったように自慢をしたが直後に恥ずかしくなった。
- 5年間浪人をして志望校に合格した学生が鬼の首を取ったように大きなガッツポーズをしていた。
- 母はゴキブリを退治して鬼の首を取ったような様子だった。
- 上司は過去の武勇伝を後輩に語るときは、いつも鬼の首を取ったかのように、大げさにエピソードを盛って伝えている。
ポイントは、「大したことでもないのに」という点ですね。 本当に素晴らしいことであれば、「鬼の首を取ったよう◯◯」という小バカにする表現は不適切です。
偉業や功績は、「実際に鬼の首を取った状態」であるため、「取ったように」と取っていない表現は日本語としても間違っていますよね。
「鬼の首を取ったよう」の類語
類語をご紹介します。
- 天下を取ったように
意味⇒たいしたことではないのに、喜ぶこと - 小鼻をうごめかす
意味⇒自慢げであること - 有頂天になる
意味⇒いい気分になり舞い上がっているさま - 天狗になる
意味⇒自慢げになり調子になる - 顎を撫でる
- いい気になる
- 調子にのる
類語をチェックすると、「鬼の首を取ったよう」という慣用句の意味がスッキリわかりますね。 「いい気分になる」「調子にのる」はシンプルでわかりやすい類語になるため、ぜひ覚えておくと役立ちます。
「鬼の首を取ったよう」の対義語
意味が反対となる、対義語をご紹介します。
- 有れども無きが若し(あれどもなきがごとし)意味⇒自分の才能をひけらかさずに、謙虚でいること
- 能ある鷹は爪を隠す(のうあるたかはつめをかくす)意味⇒本当の実力は見せびらかさず、普段は隠しておくこと
- 大智は愚の如し(たいちはぐのごとし)意味⇒本当に賢い人は賢さを見せないため、はたから見ると賢く見えないこと
対義語は、まさに謙虚で冷静な状態であることがわかることわざが中心となっています。 自慢せず、能力や才能をひけらかさずに、そっと謙虚な姿勢で生きているという素晴らしいことわざばかりです。
「能ある鷹は爪を隠す」は普段は本当の実力を見せないという意味があることわざは、人生で生きていく上では非常に学びが多いですよね。
鷹(たか)も獲物を取るとき以外は、そっと鋭利な爪を隠しておいて、相手を油断させて一瞬で仕留めるという習性があります。 常に、武器である爪を見せながら生きていると、まわりにいるエサとなる動物は怖がって近づかなくなり、鷹は食べ物がなくなってしまいます。
「鬼の首を取ったよう」の英語表現
英語に直訳すると、「as if one grabbed a demon by the neck」という英文となります。
しかし、日本語のことわざを英語にしても英語圏の人間には伝わりません。 英語のことわざを無理やり日本語に翻訳をしても、意味が伝わらないのと同じです。
「There’s no sense acting proud as Punch over such a minor thing.(そんなに些細なことで騒がなくてもよい)」という英文であれば、ことわざの意味をしっかりフォローした形になるため、ぜひ参考にしてください!!
「鬼の首を取ったよう」の中国語
中国語に翻訳するならば、「仿佛你抓住了恶魔的脖子」と表現することができます。
まとめ
それではおさらいしていきます!
- 意味は、たいしたことではないのに、大きな手柄を立てたかのように喜ぶこと
- 語源は、鬼(おに) 鬼は仏教に由来している
- 類語は「調子にのる」「いい気分になる」
- 対義語は「有れども無きが若し」
それでは以上になります。 最後までお読みいただきありがとうございました!!