能ある鷹は爪を隠す(のうあるたかはつめをかくす)とは、「才能や実力のある者は、軽々しくそれを見せつけるようなことはしないというたとえ」という意味があります。
能力がある人ほど、謙虚であり意味もなく実力を見せびらかしたりしないという意味があるため、他人から使われると非常に嬉しくなることわざでもあります(笑)
このページでは、「能ある鷹は爪を隠す」について、意味・使い方・例文・類語・対義語・語源をわかりやすく徹底的にまとめました。 ぜひ参考にしてくださいね♪
ちなみに、語源は「鷹(たか)」の獲物を狩るときの習性から由来しています。 10センチ近くまで成長する大きな刃物のような爪を直前まで隠して、獲物に近づくという習性があるのです。
もしも、鷹が爪を隠さずに見せびらかしていたら、きっと獲物はすぐに警戒して逃げちゃいますよね!!
すぐに読める目次
「能ある鷹は爪を隠す」の意味
読み方は、「のうあるたかはつめをかくす」 「脳ある鷹は爪を隠す」は誤用である。
- 才能や実力のある者は、軽々しくそれを見せつけるようなことはしないというたとえ
- いざというときにだけ、真価を発揮するということ(真価とは、本当の値打ち)
才能や実力を見せつけるようなことはしないという意味がこめられていることわざです。
「能ある鷹は爪を隠す」の語源
語源は、鳥の習性です。 鷹(たか)や鷲(わし)などの猛禽類は、鋭利な爪で獲物を捕獲します。
猛禽類(もうきんるい)とは、猛禽類は、鋭い「つめ」と「くちばし」を持ち、他の動物を捕食する習性のある鳥類の総称
鷹(たか)は、他の鳥類よりも頭脳が発達している、かしこい鳥なのです。 そこで相手を油断させるために、武器である鋭い爪と、力強い趾を隠しながら飛行します。
このような様子から、「能ある鷹は爪を隠す」ということわざが生まれたと考えられております。 捕食される動物からみると、爪を隠しているのと、爪を大きく光らせて上空を飛んでいるのでは警戒レベルが違いますよね。
人間でもあきらかに怖そうな人と、外見が穏やかな人では警戒する度合いがことなりますよね(笑)
もしも、鷹(たか)が堂々とした爪と、握力が100キロを超える趾(あしゆび)を見せびらかして、上空を飛んでいると獲物も逃げ出してしまい、食事にありつけなくなってしまいます。
「北条氏直時分諺留」という書物に、「能ある鷹は爪を隠す」が始めて使われたという記録があります。 この「北条氏直時分諺留」は1500年前半〜中盤にかけて安土桃山時代に残された書物です。
語源は、鷹の習性から由来していますが、人間がはじめてことわざにしたのは「北条氏直時分諺留」であると考えられる。
鷹(たか)は本当に爪を隠しているのか?
鷹(たか)は数十種類いるため、すべてに共通しているわけではありませんが、飛行中や空から獲物を狙っているときは、鋭い爪がついている脚を折りたたむようにして飛んでいます。
脚を広げて伸ばした状態で空を飛んでいると、動物たちが警戒することもできます。
しかし、爪を収納している状態で空中を飛んでいると凶器である爪がみえにくいため、相手の警戒レベルを落とすことができますよね。
ちなみに、猛禽類(もうきんるい)最大のオウギワシは体長100センチを超えるほどの巨大な鳥です。 そして、爪の長さが10センチ近くまで成長するというので、固くてするどい爪はほぼ凶器ですね・・。 なんと握力は140キロもあるそうです。
「能ある鷹は爪を隠す」の使い方
使い方は以下のような状況で使用可能です。
- 相手のギャップが垣間見えたとき
- 意外な特技を見せたとき
- 思わぬ人が思わぬ状況で活躍したとき
- 相手を褒めるとき
- 相手の意外性を紹介するとk
- etc..
「能ある鷹は爪を隠す」ということわざは、ビジネスシーンや日常などで使うことができます。 ある人のギャップに驚いたときなどに、「能ある鷹は爪を隠すとはこのことか!!」と驚くときにも使えます。
「能ある鷹は爪を隠す」の例文
例文をご紹介します。
- 気弱そうな後輩は服を脱ぐと筋肉モリモリだった。能ある鷹は爪を隠すとはこのことか。
- 能ある鷹は爪を隠すとは、才能もしくは実力がないと使われることがないことわざである。
- 能ある鷹は爪を隠すというが、勤めている会社の上司は自分が持っている資格と経験をひけらかしまくっている。
- 能ある鷹は爪を隠すということわざが示すように、努力をしている人ほど謙虚で自慢をしないものだ。
- 自慢する人よりも能ある鷹は爪を隠すタイプの人のほうがカッコいいし、自分もそうでありたい。
例文を読むと、「能ある鷹は爪を隠す」の意味がより深く理解できるとおもいます。 例文からわかるように、あくまでも他者に使うことわざであって、自分を良く見せるためのことわざではありません。
この、ことわざは「実力がある人は軽々しくそれを見せつけるようなことをしない」 という意味があるため、他人に自慢をした瞬間に、「能ある鷹は爪を隠す」ではなくなってしまうので注意が必要。
「能ある鷹は爪を隠す」は褒め言葉
基本的には、褒め言葉として使うことわざです。 使い方は、相手のことを褒めたり、相手の技能や努力を称賛するときに使えます。
自分に対して使ってしまうと、ことわざの意味とは反してしまうためご注意ください
「能ある鷹は爪を隠す」の類語
類語をご紹介します。
- 大賢は愚なるが如し(たいけんはおろかなるがごとし)
意味⇒賢い人は自分の知識をひけらかさないため、一見すると賢いようには見えないこと。 - 大巧は拙なるが若し(たいこうはせつなるがごとし)
意味⇒名人は見かけの小細工をしないことから、一見下手に見えること。 - 深い川は静かに流れる
意味⇒分別のある人や思慮深い人は、ゆったりとしていてやたらに騒がないというたとえ。 - 上手の鷹が爪隠す
- 鼠捕る猫は爪隠す
- 鳴かない猫は鼠捕る
類語のことわざは、「実力はあるけど見せびらかさない」という意味があります。 そして、技能や才能を見せつけることはないため、一見すると実力がなさそうに見えてしまうという点もある。
現代では、持っている力をアピールしないことがデメリットとなることもあるが、日本人的な精神からすると、「あえて言わない美しさ」というものがあるのかもしれません。
とはいえ、実力を発揮するべきときは発揮して、アピールするときはアピールをしっかりする。 現代では、このメリハリが重要なのではないかと思います。 どちらにせよ、求められていないのにアピールするということは不要ですね。
「能ある鷹は爪を隠す」の対義語
意味が反対となる、対義語、ことわざをご紹介します。
- 空き樽は音が高い(あきだるはねがたかい)
意味⇒中身がない人ほどよく喋るというたとえ。 - 鳴く猫は鼠を捕らぬ(なくねこはねずみをとらぬ)
意味⇒口ばかり達者は人は行動力がないことのたとえ。 - 口自慢の仕事下手(くちじまんのしごとべた)
意味⇒口は達者だが、仕事はできないこと。 - 負け犬の遠吠え
意味⇒本人の前では言わない悪口を陰でコソコソいうこと。 - 浅瀬に仇波(あさせにあだなみ)
意味⇒未熟な者ほどおしゃべりで騒ぎ立てること。
反対語となることわざは、このように何とも悲しい意味が込められているものばかり…。 「能ある鷹は爪を隠す」のほうがかっこいいですし、実力や才能が認められているということわざになるため、私も見習っていこうとおもいました。笑
やはり教養が深かったり、ビジネスで圧倒的な経験や知識のある人間ほど、自慢せず淡々としていることが多いです。
ことわざに見習ってより美しい人間になれるように自戒の念を込めて書いております(汗)
「能ある鷹は爪を隠す」の英語表現
日本語のことわざを直訳すると、「The skillful hawk hides its talons.」となりますが、この英文では英語圏の相手には伝わらないため、下記で紹介する2つの英文を参考にしてください。
「A wise man keeps his knowledge to himself.(賢い人は自分の知識を自分に秘める)」という英文があります。
こちらの英文であれば、「能ある鷹は爪を隠す」に込められている意味も含まれているため、英語圏の人にもしっかり意図がつたわります。
「A wise wolf hides its fangs.(賢いオオカミは牙を隠す)」という、日本語のことわざと意味が非常に似ているアメリカのことわざがあります。 どうぶつの種類が違いだけで、背景に込められている意味もまったく同じですよね!!
「能ある鷹は爪を隠す」の中国語
中国語では、「真人不露相」と表現します。
「真人」とは「能力がある人」という意味があり、日本語に訳すと「真人は顔に出さない」となる。
まとめ
それではおさらいしていきます!
- 意味は「実力のある者は軽々しくそれを見せつけるようなことはしない」
- 語源は、鷹(たか)の獲物を狩るときの習性から由来
- 安土桃山時代の「北条氏直時分諺留」に登場したことわざである
- 類語は「深い川は静かに流れる」
- 対義語は「空き樽は音が高い」
- 英語は「A wise wolf hides its fangs.」
- 中国語は「真人不露相」
それでは以上になります。 最後までお読みいただきありがとうございました!!