転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ)とは「失敗しないように、万が一に備えてあらかじめ十分な準備をしておくことのたとえ」という意味があります。
わかりやすくいうならば、「事前準備は大切である」という学びが込められていることわざです。
このページでは、「転ばぬ先の杖」について意味・使い方・類語・例文・対義語をわかりやすく徹底的に解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
ちなみに語源は、「江戸時代浄瑠璃」に由来しています。
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「転ばぬ先の杖」の意味
読み方は、「ころばぬさきのつえ」
- 失敗しないように、万が一に備えてあらかじめ十分な準備をしておくことのたとえ
意味としては、「失敗しないように丁寧に準備をすること」。 別の言葉に言い換えるならば、「用心深い」ということになる。
転ばぬ先の杖の「杖(つえ)」とはステッキのことであり、おじいさんが転倒しないように体を支えるための棒のことです。
ことわざの意味をそのまま解説するならば、「転んでケガをしてしまう前に杖を買って用心しておく」ということになります。
「転ばぬ先の杖」の語源
語源は江戸時代の浄瑠璃(じょうるり)という劇場音楽で「此様に意見するも、転(コロ)ばぬ先の杖とやら」というセリフがあるようです。
こちらが由来となって現在の、「転ばぬ先の杖」ということわざになったと考えられています。
ちなみに、転ばぬ先の杖とは3つに分解してかんがえることができます。
- 転ばぬ⇒転んでいない
- 先の⇒ちょっと先の未来
- 杖⇒体を支えるための補助器具
このように1つのことわざを3つの要素に分解することができます。 まだ転倒してもいないのに、先に杖を購入しておいて、転ばないようにリスクを防止するという用心深さを伺えることわざです(笑)
ちなみに、「石橋を叩いて渡る」ということわざも、頑丈である石で作られた橋をわざわざ叩いて渡るほどの用心深さという意味があります。
昔は、橋といえば木材で作るのが一般的でした。
しかし文明が発達していくと、石造りの橋が増えて、
圧倒的な丈夫さと災害の強さに定評があった。
こういった事情がある上で、「それでも石橋を叩いて渡るほどの用心深さ」という意味が込められていることわざなので、「ものすご〜く用心深いこと」という状態になります(笑)
「転ばぬ先の杖」は良い意味?悪い意味?
結論としては、どちらにも当てはまります。 その理由は、注意喚起として「転ばぬ先の杖」ということわざを使えば、人のために役立つ使う方となります。 よって、良い意味になる。
しかし、相手を小馬鹿にしたり、悪意をもって使うときは悪い意味になります。
悪い意味となるようなケースは以下のような状況です。
- 行動が遅い人への嫌味
- 失敗を恐れてビビっている人への悪口
- 他人を揶揄するとき(揶揄(やゆ)とはからかうこと)
嫌味として悪い意味で使われることもあることわざなので、時と場合によって変化します。
大半は、将来に備えたポジティブな意味として使われる。
「転ばぬ先の杖」の使い方
使い方は以下のようなシチュエーションに当てはまります。
- 万が一の事態に備えるため
- 不安要素を取り除くとき
- 注意喚起をするとき
それでは、「転ばぬ先の杖」を実際に使った例文をご紹介します。
「転ばぬ先の杖」の例文
- 緊急用の飲料水を万が一のときのために買いだめをする主婦は転ばぬ先の杖である。
- 若いうちから資産を積み立てて老後に備えるというのは理想的な転ばぬ先の杖である。
- 転ばぬ先の杖として20代のうちに知識と情報にしっかり投資をしておく。
- 新しいことに挑戦するときは転ばぬ先の杖として、専門家の意見をしっかり聞いてから行動する。
- 僕は転ばぬ先の杖として、保険にいくつも加入している。
- 母は転ばぬ先の杖をいくつも準備しておかないと落ち着かない性格なので、すごく心配性である。
- 転ばぬ先の杖として事前準備をすることは大切であるが、失敗を恐れすぎて行動できなくなるのは本末転倒だ。
このように、「転ばぬ先の杖として〜」「転ばぬ先の杖である」「転ばぬ先の杖とはいうが〜」という表現で使うことができます。 使い方を覚えてしまえば、日常会話でも応用することができるので、便利ですよ♪
「転ばぬ先の杖」の類語
「転ばぬ先の杖」の類語、意味が似ていることわざをご紹介します!!
- 石橋を叩いて渡る
意味⇒用心すればするほど用心深くなること - 遠慮なければ近憂あり(えんりょなければきんゆうあり)
意味⇒目先のことにとらわれて将来のことを考えないでいると、近い将来かならず心配事が起こるということ - 後悔先に立たず
意味⇒すでに終わったことを後から悔やんでも仕方がないこと。 - 事を事とすればすなわちそれ備えあり
- 備えあれば憂いなし
意味⇒準備をしっかりしておけば心配はないこと。 - 予防は治療に勝る
意味⇒問題が起こってから処理するより、事前に予防することが大事だということ。 - 濡れる先の傘
意味⇒失敗しないよう事前に準備しておくこと。 - 念には念を入れよ
意味⇒用心を重ねること
用心を重ねる、事前準備をしっかりしておけば心配はない。という意味のことわざは古今東西たくさんあります。 日本だけでなく、中国やアメリカの格言などにも非常に多いです。
人間というのは事前に予防をして準備をしておけば心配事が減り、人生をよりよくしていけるという先人の教えなのかもしれません。
もちろん、「転ばぬ先の杖」も悪い意味として使われることもあるため、一長一短ではありますが、準備を一切しないというのはリスキーな生き方でもありますよね。
「転ばぬ先の杖」の対義語
「転ばぬ先の杖」とは意味が反対となることわざをご紹介します。
- 渇して井を穿つ(かっしていをうがつ)
意味⇒喉が乾いてから井戸を掘っても意味がないということ。 - 泥棒を捕らえて縄をなう
意味⇒泥棒を捕まえてから縄を準備しても遅いこと。 - 盗人を見て縄をなう
意味⇒起こってしまったあとに急いで準備をしても遅いこと。
対義語である、「渇して井を穿つ」はものすごく学びの多いことわざですよね。 喉が乾いてから一生懸命に井戸を掘って、飲水を準備しようとしてもすでに手遅れですよね・・・(汗)
このような状態は、人生において当てはまることだらけですね(自戒の念を込めて・・・)
例えば、若いころに遊んでばかりいると将来になってからお金や仕事の不安が湧き出てきますよね。 そう考えると、やはり「転ばぬ先の杖」ということわざから学び、事前に準備できるうちからやっておくというのが正解なのかもしれませんね♪
「転ばぬ先の杖」の英語表現
英語だと、「Thatch your roof before the rain begins.(雨が降ってくるまえに屋根を用意しろ)」ということわざがあります。
「雨」というのは、「問題」のことです。
つまり、問題が起こる前に用心して準備をしておくべきだという英文になります。 国によって表現が変わるのでおもしろいですね!!
「転ばぬ先の杖」の中国語
中国語では、「未雨绸缪」と表現します。 こちらの中国語も、「雨の降らないうちから窓を修理する」という意味があり、英語のことわざと非常に例えが似ています♪
全世界共通で、問題が起こる前の予防が重要であるということわざが存在していることがわかりました(^O^)b
まとめ
今回の、「転ばぬ先の杖」ということわざは人生においてものすごく重要な学びがありましたね!! それでは、おさらいしていきます!
- 意味は、失敗しないように万が一に備えてあらかじめ十分な準備をしておくことのたとえ
- 語源は、江戸時代の浄瑠璃に由来している
- 良い意味・悪い意味どちらも当てはまる
- 類語は「石橋を叩いて渡る」「備えあれば憂いなし」
- 対義語は「渇して井を穿つ」
- 英語は「Thatch your roof before the rain begins.」
- 中国語は「未雨绸缪」
それでは以上になります!! 最後までお読みいただきありがとうございました。 あなたの1日が素敵な日になりますように♪