「いぶし銀」とは、「見た目の華やかさはないが、実力や魅力があるもの」という意味があります。
語源としては、銀色(シルバー)という色の味わい深さから由来しています。
「いぶし銀」という言葉の意味・使い方・例文・類語・英語表現などをわかりやすくまとめました!
1度読めば、一生使える日本語の知識をたった2分でマスターすることができます。 ぜひ参考にしてくださいね
いぶし銀の意味
読み方は、「いぶしぎん」
- いぶしをかけた銀、艶(ツヤ)のない灰色
- 見た目の華やかさはないが、実力や魅力があるもの
- (例)あのベテラン俳優は目立たないがいぶし銀の名脇役である
- (例)祖父はいぶし銀の筆さばきで文字を書く
いぶし銀とは、言葉通りの意味としては「燻(いぶし)をかけた銀、ツヤのない灰色」というものです。 この様子から、「見た目はさほど華やかではないけれども、実力や魅力があること」という表現に使われるようになりました。
ピカピカ光るような目立つような見た目はしていないけど、確かな魅力や実力がある人物やモノに対して使うことができます!
いぶし銀の語源
いぶし銀の語源は「燻(いぶし)をかけた銀」という言葉に由来しています。
「燻(いぶし)」とは硫黄(いおう)などをかけて金属を黒くすること
いぶしをかけられた銀には「光沢がなくなる」という状態になります。 しかし、光沢(ピカピカ)はなくなったけれど、その代わりに深みのある味わいが生まれるのです。
このような様子から、「あの名脇役はいぶし銀の演技をする」という表現に使われるようになりました。
主役ほどの華やかさはないが、その代わり名脇役ならではの深みのある演技力と味があるということです。
いぶし銀の使い方
「いぶし銀」とは、ベテランや熟練者などに使われることが多いです。
「見た目の華やかさはないが、実力や魅力があるもの」という意味が込められているため、影の立役者だったり、見た目ではわからないけどすごい人などに使うことができます。
例えば、以下のような人物に対して使うこともできる。
- 横綱を育てた部屋の親方
- 社長を支えている優秀なベテラン役員
- 有名歌手を指導したボイストレーナー
- 60年間空手を指導している師範
このような、世間ではあまり目立たない人物などに対しても「いぶし銀の◯◯」「いぶし銀の活躍」「◯◯さんこそいぶし銀である」という使い方ができます。
いぶし銀は主役には使わない言葉です
漫画であれば主人公ではなく、それ以外の登場人物に使う
ひと目ぱっと見るだけでは実力や華やかさがないため、わかりにくいけど、実はものすごい実力者であるという場合に、「あの人こそこの会社を支えているいぶし銀のベテラン社員なんだよ」と表現することもできる。
いぶし銀とは、目立っていなくても実力のある人に使うため、誰もが知っているスーパースターをいぶし銀を表現することはありません。
マイケルジャクソンこそいぶし銀のキングオブポップだ
宇多田ヒカルこそ日本でトップのいぶし銀歌手である
⇒このような使い方は、「いぶし銀」という言葉の意味とは逆になってしまうため間違いです。 あくまでも、見た目の華やかさがなく、目立っていない人物に対して使われる言葉です。
私の祖父がこれほど業界で飛躍できたのも、裏で支え続けた祖母のいぶし銀の活躍と愛情があったからである
いぶし銀の例文
例文をご紹介します。
- 彼は日本で有名な製品を編み出したいぶし銀の技術者である
- いぶし銀の活躍をした元ジャイアンツの川相選手がだいすきだ
- 近所の洋食屋のマスターはいぶし銀の腕でおいしいオムレツを作ってくれる
- あの名脇役は知名度こそないが演技力は抜群のいぶし銀俳優だった
- 僕が勤めている会社はいぶし銀のベテラン社員達によって支えられている
- いぶし銀と呼ばれるベテランパートのおばちゃんの仕事の手さばきは見事だ
例文をチェックしてみると、より言葉の意味や使い方が理解しやすくなりますよね! 個人的には、「いぶし銀」と呼ばれるほど円熟味のある人間になれるよう、日々堪える限りの力を尽くして生きていきたいとおもいました(^O^)b
いぶし銀の類語
類語をご紹介します。
- 味が出ている
- 深みのある
- 円熟味
- 熟成された
- コクのある
- 影の立役者
- ベテラン
- スルメのような
- 縁の下の力持ち
- 趣(おもむき)がある
いぶし銀は褒め言葉?
いぶし銀は褒め言葉なので、失礼になることはありません。
しかし、「あくまでも目立たない見た目の華やかさはないが、実力や魅力があること」という意味が込められているため、使う相手を間違えてしまうと失礼な言葉になります。
色で言えば、金色(ゴールド)が主役で、銀色はあくまでも2番手というイメージですよね。 オリンピックでも金メダルが1位の選手に渡されて、2位の選手は銀メダルです。
このように、主役や1番などの意味は金色になるため、あくまでもいぶし銀とは主役ではない、目立つ存在ではない相手に使う褒め言葉です。
東京オリンピックでマラソンで金メダルを獲得した選手に対して、
「いぶし銀の走りでしたね」とは表現しません
仮に、マラソンで大きな結果を出せなかったとしても諦めずに最後まで走り抜き、観客の感動や、テレビで見ている人たちの共感を呼ぶような魅力ある走りをした選手に、「最後まで諦めないいぶし銀の走りに国民は感動しました!」と表現することは可能です。
結果として華やかなものではなかったけれど、人を引きつける魅力ある内容であればいぶし銀と表現できます。
いぶし銀は老人や年配者という意味はない
いぶし銀とは、単純に歳を重ねている人物(ご老人・年配者)」という意味は含まれておりません。 あくまでも、意味は以下のようになります。
いぶし銀とは、見た目の華やかさはないが、実力は魅力があること
別の言葉に言い換えるならば、ベテランは「いぶし銀」と表現することができます。
ベテランとは、「ある分野や物事において豊富な経験と技術をもっていること」という意味があります。 例えば、製造業に50年携わっているベテラン社員であれば間違いなく「いぶし銀のベテラン社員」と表現することができます。
「いぶし銀」の英語表現
いぶし銀を英語で表現するならば、「oxidized silver(オキシダイズ シルバー)」意味は、「酸化させた銀」です。
英語では、比喩表現としての「見た目は目立たないが実力がある人物」という意味は含まれていないため、そのまま英語で「oxidized silver(オキシダイズ シルバー)」と表現します。
英語でしゃべるときに、「oxidized silver(オキシダイズ シルバー)」と表現しても、相手には「酸化させた銀」という意味でしか伝わらないため、お気をつけください!
まとめ
いぶし銀という言葉は、意味は知らなくてもなんとなく「シブい」という感じがあるため、なんとなく理解している人が多いのではないでしょうか。
私も10代の頃は意味を深く理解しておらず、なんとなくでしか意味を捉えていませんでした。
しかし、大人になって言葉の意味をあらためて学び直すことで「日本語って深くておもしろいな」と再認識することができました(^O^)b
それではおさらいしていきましょう!
- 「いぶし銀」とは目立たないけど実力・魅力のあるもの
- 「いぶし銀」の語源は燻をかけた銀の色が由来している
- 「いぶし銀」は褒め言葉である
- 「いぶし銀」にご老人・年配者という意味はない
- 英語で「oxidized silver(オキシダイズ シルバー)」